
前回記事でプロポの調整機能について、一覧的に概要を書いてみました。

今回は、そのうちのステアリング周りの設定とサーボ動作の関係について、若干掘り下げつつ、さらにステアリングサーボの基本事項についても触れていきたいと思います。
ステアリングの調整方法
前の記事で書いたプロポの調整機能のうち、ステアリングの調整に直接関わる機能は
- トリム(TRIM)
- サブトリム(SUB-TRIM)
- エンドポイントアジャスト(EPA)
- デュアルレート(D/R)
- エクスポーネンシャル(EXP)
これら5項目が該当になります。
スロットルについてもそれぞれ同様の機能がありますが、本記事では特にことわりがない限り、すべてステアリングに関するものとして読んでください。
トリム(TRIM)
サーボのニュートラルを調整します。トリムを調整しても、エンドポイント(サーボの動作限界位置)は変わりません。

通常、実走行時においてステアリング操作を行っていないにもかかわらず、左右どちらかに偏った走行軌道になってしまう場合などに、直進(正しいニュートラル)を出すために調整します。
サーボのニュートラル、というか、ステアリング
サブトリム(SUB-TRIM)
サーボのニュートラルを調整し、それと同一方向・同一角度にエンドポイントも移動します。

マシン組み立て・メカ積み時に、サーボホーンが組み立て指示通りの角度とならない場合に、この機能で調整を行います。
と言うのも、サーボとサーボホーンは『スプライン』と呼ばれる歯形のついた軸と穴で締結されるため、サーボの軸に対してサーボホーンを任意の角度で取り付けることができないからです。

サーボのスプライン歯数は、各社で多少違いがありますが、概ね23T~25Tで実装されています。
スプラインピッチ角はそれぞれ
23T:15.7°
24T:15.0°
25T:14.4°
であり、スプライン軸-穴の組み合わせは一歯単位でしかずらすことができないので、これより小さい角度の調整は不可能となります。
サーボホーンの取付指示角度がたまたまぴったり合う位置なら問題ありませんが、多くの場合指示角度通りとはならないので、サブトリムで指示角度通りとなるよう調整を行います。
エンドポイントアジャスト(EPA)
サーボのエンドポイント(動作限界位置)を左右それぞれ調整する機能です。

車両側のステアリングリンク機構が、3分割ステアリングワイパーの様に左右等角に動作するような構造となっている場合には、この調整で左右に大きな差は出ず、微調整程度に留まることとなります。
オールドバギーの様に
- サーボの旋回中心が車幅中心にない
- ステアリングロッドがホーン直結式
- ステアリングロッドが左右不等長
- サーボの取付指示角度が鉛直方向ではない
という条件下では、下図のようにサーボの回転角が同じでも、ステアリングロッド左右移動距離が同じにならない(≒舵角が左右で異なる)ということがしばしば発生します。

このような場合左右の操作終端で、実際の舵角が左右同じになるよう、EPAの機能で調整することが必要になります。
また、ステアリングの機構的な動作範囲とサーボの動作範囲は一致せず、サーボの動作範囲の方が広いことが多いと思います。
この場合、ステアリングの機構的な限界を超えてサーボがさらに動こうとすると、ステアリングリンク側に過負荷がかかってしまうため、舵角の左右均等性に問題がない場合でも、EPAを用いてサーボの動作範囲を制限するのにも用いられます。
上記のような状態では、サーボが動き続けようとするのでステアリングホイールを切りっぱなしにしていると、ジジジジジジジ…とサーボの動作音が鳴り続けますので、この音がなくなるところが調整の目安となります。
これにより、プロポ側の最大操作範囲と、マシン側の舵角最大範囲を、機構・サーボ出力的に無理がない範囲で一致させることができます。
いずれにしても、組立の段階で用いる機能となります。
デュアルレート(D/R)
EPAと同様に、サーボの動作範囲を調整する機能ですが、こちらは調整量が左右同時かつ同量指定となります。

こちらはEPAとは異なり、実走行時にステアリングのアンダー・オーバー傾向を調整するのが主目的となります。
同じマシンを使っていても、路面とタイヤの組み合わせ・サスペンションの強さ・走行速度などで、ステアリングの切れ方って変わりますからね。
D/RはEPAとは別に設定し、効果は乗算されます。
例えば、EPAで右80%左60%が設定されていて、さらにD/Rで50%を設定すれば、結果的に右40%左30%のサーボ動作範囲となります。
エクスポーネンシャル(EXP)
プロポ側のステアリング操作量と、マシン側の舵角の比例度合いを調整する機能です。
ステアリングの最大操作範囲と最大舵角の関係に変わりはありませんが、ニュートラルと最大操作の間で、ニュートラルに近いところを敢えて操作量ほど舵角を切らないようにするとか、逆にステアリング切り始めをクイックに、大きく舵角をとるなど、操作フィーリングを調整することがこの機能の目的となります。
サブトリムがない場合の対応方法
私が購入したTurbo RacingのP-32Sや兄弟機種のP-52にはサブトリムの調整機能がついていません。こういった場合はどうすればいいのでしょうか。
幸いこのプロポにはEPA機能はあるので、まずサーボホーンは組立指示角度に一番近くなる(一番必要調整量が小さくなる)ようスプライン締結位置を決め、この段階で一旦軽く試走してトリムでニュートラルを出します。
そのうえで、EPAを調整し、左右舵角を等量になるよう調整しますが、このときプロポのステアリングホイールを左右それぞれ最大まで回して、サーボのジジジジジ…という駆動音がなくなるまでEPAを下げます。
これで、直進性を保ちつつ、左右均等な舵角となり、またメカ的にも過負荷が発生しないようになりました。
サブトリムもEPAもない場合は正直お手上げなので、トリムで直進性だけ確保し、あとは自分の操作でなんとか…ということになります。
これがまた非常にストレスフルで、ラジコンの楽しさを削ぐ大きな要因となってしまいがちなので、これからプロポを購入する人は、ステアリングトリムに加え、ステアリングEPAは最低限度のラインと思って選んでいただければ、と思います。
なので、(あんまり言いたくはないですが)これらの機能がないタミヤのファインスペック、京商のKT-531やKT231はお勧めできません。両社とも日本のこの業界をリードする会社さんなんですがね…
今元気のある中華製に負けないよう、コストかパフォーマンスどちらか片振りじゃなくて、コストパフォーマンスの優れた製品を世に出していただけるよう、お願いしたいところです。
サーボの選定の基礎
続いてサーボについて。知っておくべき基本事項を挙げていきます。
制御方式とスペック
サーボスペックで確認すべきところは、回転速度とトルク、そして制御方式です。
まず制御方式ですが、一般に入手可能なRC用サーボは、アナログサーボとデジタルサーボの二種類に大別できます。
どちらも内部にポテンショメーターという、サーボの位置を検出する部品が備わっており、プロポからの指示(目標位置)に対して基準位置との差をサーボ駆動モーターに伝達する、という基本的な動作の考え方は同じです。
何が違うかというと、アナログサーボはその差の大きさを電圧で制御(差が大きいほど高い電圧)し、デジタルサーボは電圧一定のまま電気的なオンオフ周期(差が大きいほど高い周波数=短いオンオフ周期)によりパルス制御するという点です。
サーボモーターの出力トルクは電圧の二乗に比例するため、アナログサーボで動作角が小さい場合には、出力トルクも小さいという特性があります。
このため、アナログサーボはニュートラル付近では十分な出力トルクを得られず、地面からの蹴り返しによって、タイヤ側からサーボに対して押し返すような力が働くデメリットがあります。
その代わり、電力消費は動作に必要な分だけであり、また動作そのものが連続で滑らかさというメリットもあります。
一方、デジタルサーボは駆動モーターに常に一定の電圧がかかっているため、舵角位置の如何に関わらず常に保持力を期待でき、地面からの蹴り返しに抵抗し易いというメリットがあります。
その分、電力消費はアナログサーボに比べ大きく、またパルス制御であることから、その動作はどうしてもカッカッカッカッカッ…という微動の繰り返しになるため、動作の滑らかさという点では、アナログサーボに一歩及ばないところもあります。
ただ、パルス動作が電動RCカーの操作に悪影響を及ぼすほどではありませんし、消費電力が大きいといってもそれはアナログサーボと比べてなので、BEC駆動で今どきのバッテリー容量(Ni-CDでなければ2,000~3,000mAhで廉価な製品は多数ある)を考えれば、微々たる差と言えるでしょう。
現行製品では、エントリークラスプロポに付属するものもデジタルサーボが多いでしょうから、積極的にアナログサーボを選ぶ理由は特にないのではないでしょうか。
具体的に、比較的安価なローエンド製品を例に、各種サーボのスペック比較をしてみましょう。
| サーボタイプ | 型式 | 速度 | トルク | 価格 (参考) |
| オールドアナログサーボ | フタバ FP-S148 | 0.22sec/60° (6.0V) | 3.0kgf・cm (6.0V) | – |
| 現行アナログサーボ | サンワ SRM-102Z | 0.20sec/60° (4.8V) | 3.0kg・cm (4.8V) | 4,360円 |
| 現行デジタルサーボ | フタバ S-U300 | 0.19sec/60° (6.0V) | 4.1kgf・cm (6.0V) | 2,800円 |
| 現行デジタルサーボ | DSERVO DS3218PRO | 0.12sec/60° (5.0V) | 21.0kgf・cm (5.0V) | 2,200円 |
FP-S148は約40年前、初代アタックの当時ベーシックだった2サーボモデルに付属していたものです。
SRM-102Zはサンワの、S-U300はフタバの現行エントリープロポのセットに付属するものです。
DS3218PROは今回RC出戻りに際し購入し、DT-04に搭載したもので中華製です。この中ではもっとも安価にもかかわらず、スペックはダントツで最高です。
この製品に限らず、中華サーボは安価でハイトルク、ハイスピードの製品がたくさんあって、実際かなりの数のユーザーが使っているようです。一昔前と違って、中華製品の信頼性も随分と上がっているようです。
サーボサイズ・重量
スペック的なことのほか、注意したいのがサーボのサイズです。
サーボが標準的なサイズのノーマルサーボと、これより1cm程度高さの低いロープロファイルサーボがあり、搭載対象のマシンによって、使用できるサーボのサイズが制限される場合があります。
今回購入したDT-04は、ロープロサーボを付けようとすると、サーボのケーブル付け根がシャーシのフレーム取付ポストに干渉して折れてしまうので、ノーマルサーボじゃないと取り付けられません。
また、重量は軽ければ軽いほど燃費に好影響を与える…とはいえ、その度合いは微々たるものでしょうから、野良ラジでは気にするほどではないと思います。
ケーブルコネクタ規格
その他、ケーブルコネクターの形状も各社で規格が違ったりしますが、フタバコネクタが事実上の標準になっているようです。
JRやサンワ、KOもコネクタ形状自体はフタバと互換性があるようですが、極性が逆のパターンもあるらしいので、そういう時はプロポのリバース設定のお世話になることになると思います。
ギヤ材質
スプラインや内部ギヤの材質は、プラ製(プラギヤ)のものと金属製(メタルギヤ)のもがあり、耐久性で言えば圧倒的にメタルギヤのものが上です。
その差はもちろん価格にも反映されますが、2つ目以降の買い替えの手間と出費を考えると、メタルギヤのものを買っておいた方がいいかなーと思える程度の差でしかないでしょう。DS3218PROもメタルギヤです。
野良ラジでどこまでを求めるか
以上、ステアリングに関わるプロポの設定と、サーボの基本事項について書いてみました。
野良ラジ~レースではないサーキット自由走行なら、廉価なデジタルサーボでも十分と思います。もう少し追い金すれば、速度が0.10SEC/60°を切り、トルクも30~40kgf・cmを超える製品もあるにはあるんですが…
この記事を書いてる時点で、DT-04にDS3218PROを積んでシェイクダウンランは行っており、実際使ってみてもまったく不満のない動作でした。不満がないというか、十分にパワフルで、キビキビした動作速度だと感じました。
初代アタック×FP-S148では、当時の目で見ても動作が非常にもっさりしており、ジ~、ジ~とゆっくり動いていたし、そもそもニュートラル付近のトルクが全然なくて、きちんとニュートラルに戻りきらないことなど日常茶飯事でしたね。
なので、ターンするごとにちょっとトリムいじり、逆のターンしたらまた反対にトリムいじり…みたいな感じで、それも毎回はやってられないんで、ステアリングをチョンチョンチョンチョンチョン…と小刻みに動かしてみたりして、今考えたらよくそんなもんで遊びかたしてたな、と思います。
そんな感じなので、出戻り組の人は現行のデジタルサーボを買って、「うわぁ、なんじゃこりゃ」みたいなことにはならないと思います。停止(保持)トルクもある程度担保されるので、トルクかスピードか、で悩んだときは、スピード優先でも良いんじゃないかと思います。
いずれにしても、サーボは『電動RCカーの楽しさのキモ』でもあると思うので、サーボのスペックとプロポの調整機能は妥協しないほうがいいですよね。
自分的には、少なくとも高出力モーターやESCより圧倒的に優先度の高い事項だと思ってます。
次回はバッテリーと充電器について書きたいと思います。こちらも30年前とはだいぶ様変わりをしておりました。
新しく覚えること結構あるもんですね。
ではまた。


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